協会が開催している検定試験


現代の企業人に求められる必須の知識

認定ハラスメント相談員Ⅰ種試験

一般財団法人日本ハラスメントカウンセラー協会
一般財団法人全日本情報学習振興協会 共催


サンプル問題


サンプル問題で「ハラスメント相談員」の重要性を学んで下さい

選択式問題サンプル

問題1.
職場におけるハラスメント対策の必要性に関する以下のアからエまでの記述のうち、最も適切ではないものを1つ選びなさい。
ア.職場は人生の多くの時間を過ごす場所、様々な人間関係を築く場所である。そのような場での人格や尊厳を傷つけるハラスメントにより、労働者が意欲・自信をなくし、能力を十分に発揮することが妨げられる。
イ.ハラスメント被害者の救済や行為者への毅然とした対応を怠り放置することにより、それを見ている周囲の労働者が上司・会社に対する信頼をなくすことになる。
ウ.ハラスメントが放置されることにより、職場全体の生産性に悪影響を及ぼすことはないが、ハラスメントを受けた人、ハラスメントを行った人の職場における生産性には、悪影響を及ぼすこととなる。
エ.ハラスメントに甘い職場は、環境の悪化により労働者の定着率が低下し、ひいては優秀な人材の流出を招き、やがて報道、SNSによる拡散等によりレピュテーションリスクを負うことがある。

解答:ウ

ハラスメントが放置されると、見聞きした周囲の労働者の仕事への意欲が低下し、職場全体の生産性に悪影響を及ぼしかねない。


問題2.
職場におけるセクシュアルハラスメントの定義に関する以下のアからエまでの記述のうち、最も適切ではないものを1つ選びなさい。
ア.「セクシュアルハラスメント」とは、相手方の意に反する性的な言動であり、その対応によって、仕事を遂行するうえで、一定の不利益を与えることや就業環境を悪化させることである。
イ.「職場」とは、労働者が業務を遂行する場所を指し、事業所内に限られるため、出張先や取引先、営業車の中は「職場」に含まれない。
ウ.「対象労働者」には、正規雇用労働者のみならず、パートタイム労働者、契約社員など事業主が雇用する全ての労働者が含まれる。
エ.「性的な言動」とは性的な内容の発言及び性的な行動を指し、事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者などもセクシュアルハラスメントの行為者になり得る。

解答:イ

「職場」とは、労働者が業務を遂行する場所を指し、業務を遂行する場所であれば、事業所内に限らず、出張先や取引先、営業車中なども「職場」に含まれる。


問題3.
職場におけるセクシュアルハラスメントの内容に関する以下のアからエまでの記述のうち、最も適切ではないものを1つ選びなさい。
ア.懇親会では、役員の隣に女性社員が座ってお酌することになっているような職場内の人間関係から明確に拒否できない場合または事実上強制しているような場合は、セクシュアルハラスメントに該当する。
イ.職場で際どい下ネタで盛り上がっているが、特に女性社員からの苦情はなく、笑う女性社員もいる場合は、セクシュアルハラスメントに該当しない。
ウ.同僚同士で交際関係にあった社員の一方が交際解消を伝えたところ、相手が復縁を求めて業務中にメールを出して来る行為は、セクシュアルハラスメントに該当する。
エ.「男のくせに根性がない」、「女には仕事を任せられない」などと発言することは、性別により差別しようとする意識等に基づくものとして、セクシュアルハラスメントに該当する。

解答:イ

環境型セクシュアルハラスメントは平均的な労働者の感じ方で判断すべきであるし、職場の人間関係から明確に拒否できないものの不快に感じている社員もいることが考えられる。性的な会話が繰り返される場合は、セクシュアルハラスメントにあたる場合がある。


問題4.
以下のアからエまでの妊娠・出産・育児休業等に関する事項のうち、ハラスメントに該当するものを1つ選びなさい。
ア.同僚が、自分の休暇との調整をする目的で、休業の期間を尋ね、変更を相談すること
イ.上司が、部下の育児休業申請を理由に解雇その他不利益な取扱いを示唆すること
ウ.上司・同僚が「つわりで体調が悪そうだが、少し休んだ方が良いのではないか」と尋ねること
エ.業務状況を考えて、上司が「次の妊婦検診はこの日を避けてほしいが調整できるか」と確認すること

解答:イ

上司が、部下の育児休業申請を理由に解雇その他不利益な取扱いを示唆することは、妊娠・出産等に関するハラスメントに該当する。


問題5.
次の図は、企業のパワーハラスメントに関する相談があった職場に当てはまる特徴に関する調査の結果で、回答が多かった項目を順に並べたものである。(  )に入る最も適切な語句の組合せを、以下のアからエまでのうち1つ選びなさい。

ア.a.上司と部下のコミュニケーションが少ない職場   b.様々な年代の 従業員がいる職場  
c.残業が多い/休みが取り難い職場
イ.a.上司と部下のコミュニケーションが少ない職場   b.残業が多い/休みが取り難い職場  
c.様々な年代の 従業員がいる職場
ウ.a.残業が多い/休みが取り難い職場   b.上司と部下のコミュニケーションが少ない職場  
c.様々な年代の 従業員がいる職場
エ.a.残業が多い/休みが取り難い職場   b.様々な年代の 従業員がいる職場  
c.上司と部下のコミュニケーションが少ない職場

解答:イ

パワーハラスメントに関する相談があった職場に当てはまる特徴としては、「上司と部下のコミュニケーションが少ない職場」と回答した企業の比率が45.8%で最も高い。次いで「失敗が許されない/失敗への許容度が低い職場」(22.0%)、「残業が多い/休みが取り難い職場」(21.0%)、「正社員や正社員以外(パート、派遣社員等)など様々な立場の従業員が一緒に働いている職場」(19.5%)、「従業員数が少ない職場」(13.1%)、「様々な年代の 従業員がいる職場」(11.9%)の順となっている。


問題6.
以下のアからエまでの事例のうち、職場のパワーハラスメントに該当しないものを1つ選びなさい。
ア.軽率なミスをした部下に対し、ことの重大性を認識させるために、部下の同僚のメールアドレスもCCに入れて厳しく叱責する。
イ.報告が遅れがちな部下を別室に呼んで、報告が遅れる理由の説明を求めるとともに、報告が遅れることのないように指導する。
ウ.部下の都合も聞かずに次々と業務を命じ、残業・休日出勤を強いているが、それは本人の能力の問題であり、自分はそうやって仕事を覚えたのだから気にしない。
エ.普段は部下が挨拶をしてきても無視するが、業務上の必要な指示は伝えている。

解答:イ

別室に呼んで報告が遅れる理由の説明を求めるとともに、報告が遅れることのないように指導する程度では「業務の適切な範囲」内といえるため、パワーハラスメントに該当しない。


問題7.
次の図は、パワーハラスメントの予防に向けて実施している取組と効果を実感できた取組に関する調査の結果で、回答が多かった項目を順に並べたものである。(  )に入る最も適切な語句の組合せを、以下のアからエまでのうち1つ選びなさい。

ア.a.メンタルヘルス不調者の減少
b.職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる
イ.a.メンタルヘルス不調者の減少
b.管理職の意識の変化によって職場環境が変わる
ウ.a.管理職の意識の変化によって職場環境が変わる
b.職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる
エ.a.管理職の意識の変化によって職場環境が変わる
b.メンタルヘルス不調者の減少

解答:ウ

「管理職の意識の変化によって職場環境が変わる」の比率が43.1%で最も高い。「職場のコミュニケーションが活性化する/風通しが良くなる」(35.6%)、「管理職が適切なマネジメントができるようになる」(28.2%)が続く。また、「休職者・離職者の減少」(13.4%)や「メンタルヘルス不調者の減少」(13.1%)を回答した者がみられた。


問題8.
相談対応の体制整備に関する以下のアからエまでの記述のうち、最も適切ではないものを1つ選びなさい。
ア.相談窓口は、労働者からの相談・苦情の内容や状況に応じ適切かつ柔軟に対応するために必要な体制の整備として設置が求められている。
イ.相談窓口においては、ハラスメントが発生していなくても、ハラスメントの発生のおそれがある場合や、ハラスメントに該当するか否か微妙な場合であっても、広く相談に対応し、適切な対応を行うようにすることが必要である。
ウ.相談窓口は、可能であればセクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント、パワーハラスメント等それぞれの窓口を設け、専門的な対応体制をとることが望ましい。
エ.相談対応・苦情処理の体制は、相談・苦情の相談窓口における対応から始まり、事実確認、措置の決定等の進め方はケースバイケースであるが、最終的には再発防止策の検討が求められる。

解答:ウ

セクシュアルハラスメント、職場における妊娠・出産等に関するハラスメントその他のハラスメントの相談窓口は一体的に、ハラスメントの相談窓口として設置し、一元的に相談に応じることのできる体制を整備することが望ましいとされている。それぞれのハラスメントはどれか一つに該当せず、複合的な態様をとる場合も多く、窓口をジャンルによって限定することにメリットはないと考えられる。


問題9.
次の図は、従業員向けの相談窓口を設置している企業に対する「従業員から相談の多いテーマ」に関する調査の結果を表したものである。(  )に入る最も適切な語句の組合せを、以下のアからエまでのうち1つ選びなさい。

「平成28年度 厚生労働省委託事業職場のパワーハラスメントに関する実態調査報告書」より作成

ア.a. パワーハラスメント   b. セクシュアルハラスメント   c. メンタルヘルス
イ.a. パワーハラスメント   b. メンタルヘルス        c. セクシュアルハラスメント
ウ.a. セクシュアルハラスメント   b. メンタルヘルス     c. パワーハラスメント
エ.a. セクシュアルハラスメント   b. パワーハラスメント   c. メンタルヘルス

解答:イ

従業員から相談の多い上位2テーマを聞いたところ、パワーハラスメントが32.4%と最も多く、メンタルヘルス(28.1%)、セクシュアルハラスメント(14.5%)を上回っている。


問題10.
事実確認を行う際の注意点に関する以下のアからエまでの記述のうち、最も適切ではないものを1つ選びなさい。
ア.行為者に対して事実確認を行う際には、中立な立場で行為者の話を聴き、相談者の認識に誤解があった場合にも、報復などは厳禁であることを伝える。
イ.相談者と相手の意見が一致しない場合には、同席者や目撃者もしくは、同様のパワーハラスメントを受けている者に事実関係の調査を行う。
ウ.相談者、行為者、第三者の意見が一致しない場合は、自己判断をせず再度事実関係の聴き取り調査を行い、最終的にはそれぞれの意見を一致させる。
エ.第三者に話を聞くことで、当該問題が外部に漏れやすくなるので、第三者にも守秘義務について十分理解させ、事実確認を行う人数は、できる限り絞る。

解答:ウ

事実関係の確認において、相談者、行為者、第三者の意見が一致するとは限らない。それぞれの主張を、合理的に判断する情報と考えるようにする必要がある。


記述式問題サンプル

問題1.
厚生労働省「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント(第2版)」の「相談窓口の設置」の項に示されている4つのポイントのうち1つを40字以内で記しなさい。

回答のポイント

厚生労働省「パワーハラスメント 社内相談窓口の設置と運用のポイント(第2版)」の「相談窓口の設置」の項には以下の4つのポイントが示されています。
一言一句同じでなくても構いません。趣旨があっていれば、正解となります。

〇相談窓口を設置し、できるだけ初期の段階で気軽に相談できるしくみを作りましょう。
〇相談窓口は、内部相談窓口と外部相談窓口があります。
〇相談担当者として、男女共含めた複数の担当者を選任するとよいでしょう。
〇相談窓口を設置するだけでなく、従業員が安心して相談できるようにしましょう。


問題2.
以下の相談窓口(一次対応)での会話を読んで下記の設問に答えなさい。
相談員:
〇〇さんですね。相談員の△△です。今日お話しいただいたことは私以外の誰にも伝わることはありません。プライバシーは守られ、きょう相談されたことによって社内で不利益な取扱いを受けることはありません。安心してお話し下さい。
相談者:
はい。よろしくお願いします。
相談員:
ご相談にいらっしゃった事情についてお話しいただけますか。
相談者:
はい。上司が嫌らしい態度で接してくるので困っています。
相談員:
まず、上司の方のお名前を教えて頂けますか。
相談者:
販売課1係の係長の★★さんです。
相談員:
〇〇さんは★★係長の部下にあたるということでよろしいですか?
相談者:
はい。
相談員:
★★係長とどのようなことがありましたか?
相談者:
はい。今年の春から★★係長の部署に配属されたのですが、販売成績がなかなか上がらなくて先月から個別ミーティングで指導を受けています。
相談員:
はい。
相談者:
個別ミーティングは、会議室で2人だけで行うのですが、その時に仕事とは関係のない話をされることが多いんです。
相談員:
どのような話をされるのですか?
相談者:
「髪型が可愛いね」とか「休みの日は何をしているのか」とか、仕事とは関係のない話がすごく多くて、しかもとても近くに座って話をされるんです。
相談員:
それは、〇〇さんが魅力的だから、ついそのようなことをしてしまうのかもしれませんね。
相談者:
そうでしょうか。
相談員:
あまり気にする必要もないかと私は思いますが、〇〇さんはそのような時、どのような対応をするのですか?
相談者:
露骨に嫌な態度をとるのも失礼かと思って、適当な返事をしていますが、どうしても我慢できなくなってきました。
(以下略)
 
設問.
相談員の発言として、適切ではない部分を挙げ、その理由を150字以内で答えなさい。

回答のポイント

相談窓口での一次対応では、中立的な立場で相談を受けるようにして、相談者の心情に配慮しながら、対応することが必要である。

自分の価値観や偏見を持つことは厳禁で、意見を言うことは原則として控えなければならない。

「断定する」「責める」「説得する」ような発言は避けるべきであり、原則としてアドバイスすることも最小限にするべきとされている。


問題3.
相談窓口の一次対応として、下記のメールによる相談に対するメールでの回答を600字以内で記述しなさい。

相談者:田中ひろし
年齢:23歳
所属:販売部販売課1係

以下相談メール文

販売の田中といいます。
直属の上司の高橋係長とのことで相談します。
高橋係長は、私が夕方日報を提出すると、ちらっと見るだけでまるめて投げて私にぶつけてきます。日報の書き方が悪いのか、聞いても「そんなこともわからないのか」と言って教えてくれません。きっかけは営業先の〇〇スーパーの店長から私の納品ミスに対するクレームが高橋係長に電話で来たことです。
それ以来高橋係長は私と口をきいてくれません。そして毎日日報を丸めてぶつけてきます。
最初は、どうして投げられるのか、日報をどう書いたらいいのか聞きましたが、教えてくれないので、最近は黙っているだけです。周囲の人も見て見ぬふりをしています。会社に行くのがつらくて仕方ありません。高橋係長には、私がこの相談をしていることを知られたくありません。

回答のポイント

メールでの相談に対する回答のポイントは、以下の通りです。

〇相談者のプライバシーは必ず守られること・相談による不利益はないこと・相談の流れの説明等を伝え、相談者を安心させる。

〇メールで不足している(メールから読み取れない)ハラスメントの情報を確認する。
①いつ(年 月 日 時間)/ 頻度や期間 ②誰から ③どのような(場所、状況、具体的な言動など) ④他の同席者や目撃者の有無/所属や名前など ⑤他にも同様の被害を受けている者はいるか ⑥このような行為に至る想定される理由(背景)
※本問の相談メールでは、①⑤が不足している。

〇次の段階への誘導の確認をしているか。
必要な場合は、直接会って面談する必要があることを伝える。

〇書いてはいけないことを書いていないか。
 一次対応では、必要な事項を確認することが重要であり、何らかの具体的なアドバイス、責める内容、説得する内容を記述することはNGである。


問題4.
以下の図版を見て、設問に答えなさい。

図表 1 パワーハラスメントの予防に向けて実施している取組(複数回答)

厚生労働省の「企業調査」において、企業に対して、その企業がパワーハラスメントの予防に向けて実施している取組を調査した結果である。


図表 2 勤務先の具体的な取組内容(複数回答)

厚生労働省の「従業員調査」において、企業に勤務する従業員に対して、勤務先がパワーハラスメントの予防に向けて実施している取組を調査した結果である。


図表 3 「パワーハラスメントを受けてどのような行動をしたか」

「パワハラを受けた」ことがある従業員に対して、パワハラを受けてどのような行動をとったかを複数回答で聞いたアンケートの結果である。
「安心して相談できる」とは、社内の相談先が明確であると考えている従業員に対して、「社内は安心して相談できる状況か」をたずねた結果、「そう思う」と回答した層であり、「安心して相談できない」とは、「そう思う」以外(そう思わない、等)の回答をした層である。


設問.

図表1と2とを比較して読み取ることができることを、100字前後で記しなさい。
図表3から読み取ることができることを、「安心して相談できる」と考えている層と、「安心して相談できない」と考えている層の比較を通して、100字前後で記しなさい。
3つの図表から読み取ることができることから推論される「相談窓口」の設置に関して重要なことを200字前後で記しなさい。

※図表1・2と図表3は調査年が異なるが、傾向は同じと仮定して調査年の違いは考慮しないものとする。

回答のポイント①

パワーハラスメントの予防に向けて、企業が実施している取組の各項目の実施率(図表1)と、従業員が自分の会社で取組まれている項目をどれだけ把握しているか(=知っているか)の率(図表2)の数字に着目します。総じて図表1の数字と比べて図表2の数字が低くなっています。特に図表1で最も回答の多かった「相談窓口の設置」が、図表2では約半分の数字になっていることが注目されます。つまり、会社が行っている取組を知らない社員が多い、と考えられます。

回答のポイント②

「安心して相談できる」層は、「安心して相談できない」層に比べ、パワハラを受けて「何もしなかった」とする回答が20ポイント以上低く、上司や同僚、担当部署等、会社の誰かに相談ができていることがわかります。ただ、相談窓口に相談する人は少ないこともわかります。

回答のポイント③

②における、社内に安心して相談できる相談先があることが、パワハラ対策に有効であること、対して①における会社の取組み、特に相談窓口の設置が社員に知られていないこと、この2点から、会社は、ただ相談窓口を設置するだけでなく、窓口の存在を周知するとともに、従業員が相談しやすくするための環境づくりをすることが重要と考えられます。




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