令和元年6月5日に公布された労働施策総合推進法の一部改正により、大企業では令和2年6月1日から、中小企業では令和4年4月1日から、職場におけるパワーハラスメント防止対策の講じることが義務付けられました。これに伴い、事業主が講じるべきパワーハラスメント防止対策について具体的に定めた指針が令和2年1月15日に厚生労働省から示されました。
この指針によれば、事業主は職場におけるパワーハラスメント、すなわち、優越的な関係を背景とした業務上不適切な言動によって労働者の就業環境が害されることを防ぐべく、適切かつ有効な措置を講じる必要があります。指針は、職場という言葉は労働者が業務を遂行する全ての場所を含み、労働者も正規雇用、非正規雇用を問わず、全ての雇用形態の労働者を含みます。また、派遣労働者についても、派遣元事業主だけでなく、派遣先もこの指針の対象となります。
職場におけるパワーハラスメントは、優越的な関係を背景とした業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動によって労働者の就業環境が害される行為を指します。これには、業務上必要かつ相当な範囲で行われる適正な業務指示や指導は含まれません。
指針の目的は、事業主が雇用管理上、職場におけるパワーハラスメント防止対策を適切かつ有効に実施し、労働者の職業生活の安定及び充実を図ることにあります。このような措置を通じて、健全で働きやすい職場環境の構築が期待されます。