サンプル問題で、「ハラスメントマネージャーⅠ種認定試験」の問題傾向を把握して下さい。
ここでは、ハラスメントマネージャーⅠ種認定試験の午前の部の問題を10問掲載しています。
本ハラスメントマネージャーⅠ種認定試験は、企業の危機マネジメント、ハラスメントの「リスク・危機を最小化するための管理活動」の知識となっています。
基礎的な知識加えて、「雇用管理上の義務と措置」「法的責任」「予防と対応」「従業員教育」「アンケートの実施」「裁判例」など、マネジメントに必要となる知識に重点が置かれます。特に「判例」の学習を怠らないようにして下さい。
現在開催されている「認定ハラスメント相談員Ⅰ種試験」と設問が類似いたしますが、相談員試験は、目的が相談窓口の担当者の「相談技能」を認定する試験となっております。
ハラスメントに関する一般的、基礎的な問題については「ハラスメント相談員試験」のサンプル問題もご覧ください。
サンプル問題
- 問題1.
- 次の図は、パワーハラスメントが職場や企業に与える影響に関する調査において、回答率が高かった項目を順に並べたものである。図中の( )に入る最も適切な語句の組合せを、以下のアからエまでのうち1つ選びなさい。
ア. | a.職場の雰囲気が悪くなる b.企業イメージが悪化する |
イ. | a.職場の雰囲気が悪くなる b.訴訟などによる損害賠償など金銭的負担が生じる |
ウ. | a.企業イメージが悪化する b.職場の雰囲気が悪くなる |
エ. | a.企業イメージが悪化する b.訴訟などによる損害賠償など金銭的負担が生じる |
解答:アパワーハラスメントが職場や企業に与える影響
- 問題2.
- 職場におけるセクシュアルハラスメントの定義に関する以下のアからエまでの記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
ア. | 「セクシュアルハラスメント」とは、相手方の意に反する性的な言動であり、その対応によって、仕事を遂行するうえで、一定の不利益を与えることや就業環境を悪化させることである。 |
イ. | 「職場」とは、労働者が業務を遂行する場所を指し、事業所内に限られるため、出張先や取引先、営業車の中は「職場」に含まれない。 |
ウ. | 職場におけるセクシュアルハラスメントには、女性に対するものだけでなく男性に対するものも対象になるが、同性に対するものは含まれない。 |
エ. | 「性的な言動」とは、性的な内容の発言及び性的な行動を指し、事業主、上司、同僚に限られているため、取引先、顧客などはセクシュアルハラスメントの行為者になり得ない。 |
解答:アセクシュアルハラスメントの定義
ア 正しい。 | 「セクシュアルハラスメント」とは、相手方の意に反する性的な言動であり、その対応によって、仕事を遂行するうえで、一定の不利益を与えることや就業環境を悪化させることである。 |
イ 誤 り。 | 「職場」とは、労働者が業務を遂行する場所を指し、業務を遂行する場所であれば、事業所内に限らず、出張先や取引先、営業車中なども「職場」に含まれる。 |
ウ 誤 り。 | 「職場におけるセクシュアルハラスメントには、同性に対するものも含まれ、また、被害を受けた者の性的指向又は性自認にかかわらず、当該者に対する職場におけるセクシュアルハラスメントも、対象となる(厚生労働省「事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置についての指針」)。 |
エ 誤 り。 | 「性的な言動」とは性的な内容の発言及び性的な行動を指し、事業主、上司、同僚に限らず、取引先、顧客、患者などもセクシュアルハラスメントの行為者になり得る。 |
- 問題3.
- 2019年5月に成立した「パワハラ防止対策の関連法」におけるセクシュアルハラスメント等の防止対策の強化に関する以下のアからエまでの記述のうち、最も適切ではないものを1つ選びなさい。
ア. | セクシュアルハラスメント等は行ってはならないこと等に対する関心と理解を深めることや、他の労働者に対する言動に注意を払うこと等を関係者の責務として明記する。 |
イ. | 労働者が相談等を行うことに躊躇することがないよう、労働者がセクシュアルハラスメント等に関して事業主に相談したこと等を理由とした不利益取扱いを禁止する。 |
ウ. | 事業主に対し、他社から雇用管理上の措置の実施(事実確認等)に関して必要な協力を求められた場合に、これに応じる努力義務を設ける。 |
エ. | セクシュアルハラスメント等の調停制度について、委員会は、必要があると認められるときは、関係当事者に出頭を求め、その意見を聴取できるようにする。 |
解答:エセクシュアルハラスメント等の防止対策の強化
ア 正しい。 | (セクシュアルハラスメント等に関する国、事業主及び労働者の責務の明確化) セクシュアルハラスメント等は行ってはならないこと等に対する関心と理解を深めることや、他の労働者に対する言動に注意を払うこと等を関係者の責務として明記する。 |
イ 正しい。 | (事業主に相談等をした労働者に対する不利益取扱いの禁止) 労働者が相談等を行うことに躊躇することがないよう、労働者がセクシュアルハラスメント等に関して事業主に相談したこと等を理由とした不利益取扱いを禁止する。 |
ウ 正しい。 | (自社の労働者等が他社の労働者にセクシュアルハラスメントを行った場合の協力対応) 事業主に対し、他社から雇用管理上の措置の実施(事実確認等)に関して必要な協力を求められた場合に、これに応じる努力義務を設ける。 |
エ 誤 り。 | (調停の出頭・意見聴取の対象者の拡大) セクシュアルハラスメント等の調停制度について、紛争調整委員会が必要を認めた場合には、関係当事者の同意の有無に関わらず、職場の同僚等も参考人として出頭の求めや意見聴取が行えるよう、対象者を拡大する。 |
- 問題4.
- 職場における妊娠・出産等に関するハラスメントについて、以下のアからエまでの記述のうち、最も適切ではないものを1つ選びなさい。
ア. | 職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの類型には、「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」がある。 |
イ. | 職場における妊娠・出産等に関するハラスメントに該当するか否かは、「業務上の必要性」があるかどうかで判断される。 |
ウ. | 「制度等の利用への嫌がらせ型」の例として、労働者の産前産後、育児休業制度等の利用の請求を理由に上司が解雇や不利益な取扱いを示唆するものがある。この場合においても、繰り返しまたは継続的に行う言動はハラスメントに該当するが、1回のみの言動はハラスメントに該当しない。 |
エ. | 「状態への嫌がらせ型」の例として、上司・同僚が女性労働者に対し、「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障を生じさせるものがある。 |
解答:ウ職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの定義
ア 正しい。 | 職場における妊娠・出産等に関するハラスメントの類型には、「制度等の利用への嫌がらせ型」と「状態への嫌がらせ型」がある。 |
イ 正しい。 | 職場における妊娠・出産等に関するハラスメントに該当するか否かは、「業務上の必要性」があるかどうかで判断される。 |
ウ 誤 り。 | 労働者が、産前産後、育児休業制度等の利用の請求を理由に上司が解雇や不利益な取扱いを示唆することは、1回の言動であってもハラスメントに該当する。 |
エ 正しい。 | 「状態への嫌がらせ型」の例として、上司・同僚が女性労働者に対し、「妊娠するなら忙しい時期を避けるべきだった」と繰り返し又は継続的に言い、就業をする上で看過できない程度の支障を生じさせるものがある。 |
- 問題5.
- パワーハラスメント対策の法制化に関する次の文章中の( )に入る最も適切な語句の組合せを、以下のアからエまでのうち1つ選びなさい。
【改正ポイント】
① 事業主に対して、相談体制の整備などパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務を新設し、あわせて、措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。
② パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による( b )の対象とするとともに、措置義務等について履行確保のための規定を整備する。
実施時期について、大企業は( c )からスタート、中小企業については当該法律の公布後3年以内の政令で定める日となっている。ア. | a.労働安全衛生法 | b.調停 | c.2021年4月 |
イ. | a.労働安全衛生法 | b.仲裁 | c.2020年4月 |
ウ. | a.労働施策総合推進法 | b.仲裁 | c.2021年4月 |
エ. | a.労働施策総合推進法 | b.調停 | c.2020年4月 |
解答:エパワーハラスメント対策の法制化
2019年6月5日に(a.労働施策総合推進法 )が改正され、パワーハラスメント対策の法制化が行われた。【改正ポイント】
① 事業主に対して、相談体制の整備などパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置義務を新設し、あわせて、措置の適切・有効な実施を図るための指針の根拠規定を整備する。
② パワーハラスメントに関する労使紛争について、都道府県労働局長による紛争解決援助、紛争調整委員会による(b.調停 )の対象とするとともに、措置義務等について履行確保のための規定を整備する。
実施時期については、大企業は(c.2020年4月 )からスタート、中小企業については当該法律の公布後3年以内の政令で定める日となっている。- 問題6.
- パワーハラスメントの成立要件に関する以下のアからエまでの記述のうち、最も適切ではないものを1つ選びなさい。
ア. | パワーハラスメント行為が成立するには、当該行為を受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係に基づいて行われることが要件となる。 |
イ. | パワーハラスメントの成立要件である「業務の適正な範囲を超えて行われること」とは、社会通念に照らし、当該行為が明らかに業務上の必要性がない、又はその態様が相当でないものであることをいう。 |
ウ. | パワーハラスメントの成立要件である「就業環境を害すること」とは、当該行為により当該行為を受けた者の職場環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることをいう。 |
エ. | パワーハラスメントの成立要件である「身体的若しくは精神的な苦痛を与える」又は「就業環境を害する」は、「被害労働者の感じ方」を基準として主観的に判断をする。 |
解答:エパワーハラスメントの成立要件
ア 正しい。 | パワーハラスメントの成立要件である「職場内の優位性を背景に行われるもの」とは、当該行為を受ける労働者が行為者に対して抵抗又は拒絶することができない蓋然性が高い関係に基づいて行われることをいう。 |
イ 正しい。 | パワーハラスメントの成立要件である「業務の適正な範囲を超えて行われること」とは、社会通念に照らし、当該行為が明らかに業務上の必要性がない、又はその態様が相当でないものであることをいう。 |
ウ 正しい。 | パワーハラスメントの成立要件である「就業環境を害すること」とは、当該行為により当該行為を受けた者の職場環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、当該労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることをいう。 |
エ 誤 り。 | パワーハラスメントの成立要件である「身体的若しくは精神的な苦痛を与える」又は「就業環境を害する」は、「平均的な労働者の感じ方」を基準とし、客観的に判断をする。 |
- 問題7.
- 教育指導に関する以下のアからエまでの事例のうち、職場のパワーハラスメントに該当するものを1つ選びなさい。
ア. | 遅刻や服装の乱れなど社会的ルールやマナーを欠いた言動・行動が見られ、再三注意してもそれが改善さない部下に対して上司が強く注意をすること |
イ. | 上司が部下に対して、長期間にわたり肉体的苦痛を伴う過酷な環境下において、業務に直接関係のない作業を命ずること |
ウ. | 上司が新入社員を育成するために短期間集中的に個室で研修等の教育を実施すること |
エ. | 上司が経営上の理由により、部下を一時的に能力に見合わない簡易な業務に就かせること |
解答:イパワーハラスメントに該当する事例
ア 該当しない。 | ①業務の適正な範囲を超えて行われること、②身体的若しくは精神な苦痛を与え、または就業環境害をすることに当たらないため、パワーハラスメントに該当しない。 |
イ 該当する。 | 上司という職務上の優位性を背景に、長期間にわたり業務の適切な範囲を超えて肉体的苦痛を伴う作業を命じているので、パワーハラスメントに該当する。 |
ウ 該当しない。 | 新入社員を育成するために個室で短期間集中的に研修等を行うことは、業務の適切な範囲を超えて行わせているとはいえないため、パワーハラスメントに該当しない。 |
エ 該当しない。 | 経営上の理由により、一時的能力に見合わない簡易な業務に就かせることは、業務の適切な範囲を超えて行わせているとはいえないため、パワーハラスメントに該当しない。 |
- 問題8.
- 事業主の講ずべき措置としての方針等の明確化及びその周知・啓発に関する以下のアからエまでの記述のうち、最も適切ではないものを1つ選びなさい。
ア. | 事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメント、職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントおよび職場におけるパワーハラスメントに関する方針を明確にし、労働者に対して、その方針を周知・啓発しなければならない。 |
イ. | 周知・啓発をするに当たっては、職場におけるハラスメントの防止の効果を高めるため、その発生の原因や背景について労働者の理解を深めることが重要である。 |
ウ. | セクシュアルハラスメントの発生の原因や背景には、性別役割分担意識に基づく言動があると考えられる。 |
エ. | 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの発生の原因や背景には、妊娠・出産等や育児休業等に関する否定的な言動が頻繁に行われるなど育児休業・介護休業等をしにくい職場風土などが考えられるが、この場合の否定的な言動には、労働者に対して直接行わない言動は含まれない。 |
解答:エ事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
ア 正しい。 | 事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメント、職場における妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントおよび職場におけるパワーハラスメントに関する方針を明確にし、労働者に対して、その方針を周知・啓発しなければならない。 |
イ 正しい。 | 周知・啓発をするに当たっては、職場におけるハラスメントの防止の効果を高めるため、その発生の原因や背景について労働者の理解を深めることが重要である。 |
ウ 正しい。 | セクシュアルハラスメントの発生の原因や背景には、性別役割分担意識に基づく言動があると考えられる。 |
エ 誤 り。 | 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの発生の原因や背景には、妊娠・出産等や育児休業等に関する否定的な言動(他の女性労働者の妊娠・出産等の否定や他の労働者の制度等の利用の否定につながる言動(当該労働者に直接行わない言動も含む)をいい、単なる自らの意思の表明を除く)が頻繁に行われるなど育児休業・介護休業等の制度の利用又は制度等の利用の請求等をしにくい職場風土などが考えられる。 |
- 問題9.
- 次の文章を読み、( )に入る適切な語句の組合せを、以下のアからエまでのうち1つ選びなさい。
【事件概要】
被告であるY専務取締役は、後日の朝礼においてXがMと男女関係にあるような発言をし、また、Xに対し、1日休んで会社での勤務を続けるかどうかについて考えてくるように発言した。これにより、Xの就業環境が害され、会社に居づらくなったXは退職をした。
【判決要旨】
被告会社は、雇用契約に付随して、「原告の( a )を侵害されることがないように職場の環境を整える義務」とともに「原告がその意に反して退職することがないように職場の環境を整える義務があるというべきである。」とし、これらの義務を怠った会社には( b )責任があるとした。また、専務取締役個人にも( c )による損害賠償義務を認め、退職による逸失利益として180日分の賃金相当額(約79万円)、慰謝料として100万円(専務に対する関係では50万円)、弁護士費用15万円を認容している。( 京都地判 平9.4.17 呉服販売会社事件)
ア. | a.プライバシー | b.債務不履行 | c.不法行為 |
イ. | a.自由権 | b.不法行為 | c.債務不履行 |
ウ. | a.プライバシー | b.不法行為 | c.債務不履行 |
エ. | a.自由権 | b.債務不履行 | c.不法行為 |
解答:アセクシュアル・ハラスメント
被告会社は、雇用契約に付随して、「原告の( a.プライバシー )を侵害されることがないように職場の環境を整える義務」とともに「原告がその意に反して退職することがないように職場の環境を整える義務があるというべきである」とし、これらの義務を怠った会社には( b.債務不履行 )責任があるとした。また、専務個人にも( c.不法行為 )による損害賠償義務を認め、退職による逸失利益(退職しなければ得られたであろう利益)として、180日分の賃金相当額(約79万円)、慰謝料として100万円(専務に対する関係では50万円)、弁護士費用15万円を認容している。( 京都地判 平9.4.17 呉服販売会社事件)- 問題10.
- 次の文章を読み、設問に答えなさい。
問:下線部の「優越的な関係を背景とした言動」とは、どんな言動を指しているのか80字以内で説明しなさい。